各国の醤(ひしお)
醤油の起源とされるのが、醤油の醤と書いて、”ひしお”。醤(ひしお)は、食材を塩漬けにして出てくる液体のこと。醤は、何を塩漬けのづけするかで、いくつかに分類されます。
肉醤 シシビシオ(ししびしお、にくしょう、ニクジャン)
魚や鳥の肉又は内臓で作った醤ひしおのこと。
干し肉を刻み、麹(こうじ)と塩に漬け込んだものもあります。
日本にも、大分県まるはら醤油の「にくしょう」という肉醤があり、鶏のレバーと心臓と塩で熟成させた肉の旨味のある調味料です。
草醤 クサビシオ
野菜や野草を塩などで漬け込んで保存すると、発酵によって旨味のある液体(醤)が出ます。これが草醤です。
いわゆる「野菜の漬物」の原点ともいえます。
中国雲南省では野菜や筍を麹で漬け込んでいました。
魚醤 ギョショウ
魚醤は、魚類または他の魚介類を主な原料にして熟成させた液状調味料のこと。世界中に存在しています。
日本の魚醤
日本においては、秋田でしょっつる(塩汁)、能登でいしる(魚汁)、香川でいかなご醤油があります。変わり種としては大分のまるはら醤油の鮎魚醤という鮎と塩だけで作った醤もあります。
また、伊豆諸島でくさやを製造する際に用いられるくさや液も魚醤の一種であると考えられます。
大分県まるはら醤油の「にくしょう」は、鶏のレバーと心臓と塩で熟成させた肉の旨味のある調味料です。
しょっつる いしる 鮎醤油 いかなご醤油
東南アジアの魚醤
東南アジアでは、タイのナンプラー、ベトナムのヌックマム(ニョクマムとも) が世界的に有名です。ニョクマムはアンチョビ類(カタクチイワシ)と塩で仕込まれます。ナンプラーよりも発酵度合いが低く、魚の香りがより強いものが多いようです。塩味はナンプラーよりも弱いものが多いです。
作り方は、木製の樽に魚と塩を「魚10:塩4」の割合で入れ、蓋をして4ヶ月~1年程度熟成させます。フォーを始め、ベトナム料理には欠かせない調味料です。
ナンプラーもアンチョビ類と塩から作られ、陶器製の瓶におおよそ「魚3:塩1」の割合になるように詰められ、屋外で蓋をして熟成させます。日本の鹿児島で作られる黒酢の製法と似ています。
イタリアの魚醤
イタリアでは、コラトゥーラという魚醤があります。
映画で有名になったアマルフィ海岸沿いにあるチェターラという小さな漁業の町が産地です。
古代ローマ時代の「ガルム」という調味料がその原点です。